The Diary of a Nobody(George and Weedon Grossmith)

前エントリで少し触れたのでジョージ&ウィードン・グロスミスのThe Diary of a Nobodyを取り上げます。

The Diary of a Nobodyは1888年にパンチ誌で連載され1892年に出版されたユーモア小説です。しがない事務員のチャールズ・プーター氏が郊外にちょっとしたマイホームを手に入れ、妻と移り住んでからの生活をプーター氏自身の日記として綴っています。もったいぶった感じの生活を気取るプーター氏ですが、ロンドン市長の舞踏会に呼ばれて欣喜雀躍するも大した理由でなかったり、若手の遅刻を注意した翌日に自分が遅刻してバカにされたりと失敗ばかり。後半は息子のルーピンが引き起こす騒動に振り回されます。周囲からのややもすると少々バカにされた扱いとそれに気づかず(気づかないふりをする?)もったいぶった態度をとるプーター夫妻のミスマッチが日記から伝わってきて、おかしみを感じてしまいます。(例えば何か自分の理解を超えたことが出てくると"It was simply Greek to me"を繰り返すのが口癖です)

本書には『無名なるイギリス人の日記』という邦訳があります。また、『階級に取りつかれた人びと』(新井潤美著、中央公論新社、2001年)では郊外に住まうロウワー・ミドルクラスという観点で本作を取り上げて論じています。どこかで新訳がでないものでしょうか。