『質屋の世界』(ケネス・ハドソン)

『質屋の世界』(ケネス・ハドソン著、北川信也訳、リブロポート、1985年)を読みました。 イギリスの質屋業(pawnbroker)の歴史を近世から第二次世界大戦後まで概観した1冊です。 中世から近世にかけてイギリスで発達していった質屋は教会からの蔑視や悪徳…

Vanished Kingdoms (Norman Davies)

ポーランド史家ノーマン・デイヴィスのVanished Kingdoms: The History of Half-Forgotten Europe を読みました。書店でたまたま手に取った本ですが、面白く読めました。 ヨーロッパ古今の「消滅した国」を1章ずつ取り上げ、その歴史を綴っています。登場す…

『エドガルド・モルターラ誘拐事件』(デヴィッド・I・カーツァー)

デヴィッド・I・カーツァー『エドガルド・モルターラ誘拐事件』(漆原敦子訳、早川書房、2018年)を読みました。 映画化するんですね... 1858年、教皇領だったボローニャで6歳のユダヤ人少年エドガルド・モルターラが当局によって突然連れ去られます。理由は…

今年読んだ本

今年(2018年)は再読を除いて170冊くらい読んだようです。読んだ中から印象に残った10冊をまずご紹介。 『探偵小説の黄金時代』(マーティン・エドワーズ著、森英俊・白須清美訳、国書刊行会、2018年)今年最大の収穫。黄金時代の作家たちの人間模様が実に…

『探偵小説の黄金時代』(マーティン・エドワーズ)

『探偵小説の黄金時代』(マーティン・エドワーズ著、森英俊・白須清美訳、国書刊行会、2018年)を読みました。20世紀戦間期のイギリスではアガサ・クリスティーやドロシー・L・セイヤーズなど多くの有名作家が現れ、後世に残るミステリーの名作・傑作が数多…

The Diary of a Nobody(George and Weedon Grossmith)

前エントリで少し触れたのでジョージ&ウィードン・グロスミスのThe Diary of a Nobodyを取り上げます。 The Diary of a Nobodyは1888年にパンチ誌で連載され1892年に出版されたユーモア小説です。しがない事務員のチャールズ・プーター氏が郊外にちょっとし…

新訳『ボートの三人男 もちろん犬も』(ジェローム・K・ジェローム)

まさか新訳が出るとは思ってもみなかったジェローム・K・ジェロームの『ボートの三人男』(小山太一訳、光文社、2018年)を読みました。 ヴィクトリア時代イギリスで、三人の男と一匹の犬がテムズ川をボートで上っていく珍道中を描いたユーモア小説の古典で…

『盗まれたフェルメール』(マイケル・イネス)

マイケル・イネス『盗まれたフェルメール』(福森典子訳、論創社、2018年)を読みました。久しぶりのイネスです。 警視監(副総監?)のアプルビイが妻ジュディスに誘われ、新進画家の個展へ。新進画家は数日前に自宅で不自然な死を遂げていました。いぶかし…